不動産業者が紹介する物件をそのまま鵜呑みにして購入することは避けましょう。不動産業者は売ることがゴールに対し、我々個人投資家は買ってからがスタート。

新築マンションを避ける
新築マンションを避けるべきと考える理由は複数あります。
一点目は、物件価格の下落を避けるためです。上図(2011年東京カンテイ調べ)の通り、新築マンションは最初の20年で3割ほど下落する傾向があります。例えば価格2000万円のワンルームマンションを購入した場合、20年後の資産価値は1400万円程度に下がる可能性が高いということです。この差▲600万円は、購入した我々にとって損失となるとともに、融資を受ける銀行に対する信用棄損となり将来マンションを追加購入する際に融資が付かない原因となるなど不利に働きます。

新築マンションの価格は、建物を建てるために要したコスト(土地代・建築費等の建物代)に業者の広告等の販売経費・利益が上乗せされて決められます。また、新築価格は融資する銀行によって決まるという話もありますが、業者は複数の銀行に打診し一番高い評価が付いた銀行の融資額に合わせて更に金額を上乗せして販売するケースも否定できません。
実力が未知数の新築物件
割高な新築価格で購入すると、月々のローン返済額も増加するため収支が悪くなります。このため、業者はマイナス収支を少しでも緩和して売りやすくするために、管理費・修繕積立金を本来設定すべき金額よりも安めに設定するケースが多く、将来の管理費・修繕積立金の増額により更に収支が悪化する可能性があります。また、新築物件は実力が未知数です。新築プレミアムという言葉があるように新築物件は人気があるため相場よりも高めの家賃でも入居してもらえますが、退去後は中古物件になりますので当初設定した家賃を維持できるのかどうかわかりません。空室期間が長く続く場合は、家賃を下げたり仲介業者に追加で広告料を払うなどの空室対策が必要になるかもしれません。
近隣物件との競争を経た中古物件
新築物件に対し中古物件は近隣物件との競争を経て家賃が決まります。また10年、20年とマンションを適切に維持するために管理費・修繕積立金は見直しが行われます。また、マンションの運営状況は、重要事項調査報告書という管理費・修繕積立金の滞納状況、積立金残高、修繕履歴、今後の予定などが記載された資料で確認することができます。修繕積立金が少ない物件は将来の増額が予想されることからその物件の購入是非を判断する重要な資料となります。家賃についてもSUUMOなどのサイトを確認することで直近いくらで契約されたのかを確認することができます。
また、物件価格は収益還元法(物件価格=年間家賃収入/利回り)により決定します。近隣で売り出している中古物件と比較することで、その物件が割高なのか割安なのか、判断することができます。
このように、中古物件は物件の運営状況が可視化されるため、事実を元に購入是非を判断することができるのです。
まとめ:「新築」ではなく「中古」を選ぶ
上記の通り、業者は「販売」がゴール、個人投資家は「購入」がスタートです。この立ち位置の違いを理解することが大切です。
観点 | 業者 | 投資家 |
ゴール | 販売 | 長期運用・売買益 |
収益源 | 売買益 | 家賃収入・資産価値 |