2005年に不動産投資を開始、これまでの投資履歴(12件取得・1件売却・借換・繰上返済・確定申告など)の中で経験した失敗談を紹介します。是非ご一読ください。
1室目(2005年):住宅ローンで購入
私は2005年に北区飛鳥山の新築ワンルームを購入し不動産投資を開始しましたが、正規の不動産ローンではなく住宅ローンで購入しました。これは契約違反。発覚すると一括で残債の返済を求められる可能性があるだけでなく、不正利用が信用情報機関に登録され、以後の審査に悪影響を及ぼす可能性もあります。また、自分が居住用の住宅を購入する時に、すでに住宅ローンの利用がある状態のため、ローン審査が下りません。契約当初、当時の不動産業者から”みんなやっている方法です”、”銀行も承知しています”、等の説明を受け住宅ローンで購入したものの、後に不正な方法であることに気づき数年後に銀行に申告しました。結果として契約解除・全額一括返済にはならなかったのですが、これはたまたま。当時それ程不正使用が咎められる時代でなかったこと、自己申告したことが情状酌量の余地ありと判断されたものと認識しています。この物件は2017年に売却しましたが、このような提案をしてくる業者は我々個人投資家のリスクを顧みないことは明らかですので、付き合うべきではありません。「業者は販売がゴール、投資家は購入がスタート」で書いたように、立ち位置が違うのです。販売後も寄り添ってくれる業者を選定する必要があります。
2室目(2009年):カードローンで頭金支払
2009年に東武東上線ときわ台駅徒歩2分の新築ワンルームを購入しましたが、諸費用込み総額2010万円に対し融資額は1900万円でした。残りの110万円をどうするのか、不動産業者に確認したところ別の提案があるとのことで売買契約・ローン契約を締結。その後、駅に行く途中で110万円の扱いを聞いたところ、ローン契約した銀行でカードローンができるのでそこでお金を引き出してください、とのこと。すでに契約締結済だったこともあり自分で110万円を支払う義務が生じており、不動産投資に110万円を支払う余力もなかったことから業者の提案通りカードローンにて支払いました。
3,4室目(2012年):二重契約
2012年に追加で新築ワンルームを2室購入しましたが、結果的に二重契約(1つの不動産取引に対して、異なる内容の契約書を2通作成する行為)となりました。
※売買価格を操作して金融機関を欺く違法行為。
契約の種類 | 内容 | 目的 |
表契約書(金融機関提出用) | 高額な売買契約 | 融資額を多く引き出しフルローンを実現するため |
裏契約書(実際の売買用) | 実際の売買契約(低額) | ー |
なぜ二重契約となったかというと、不動産業者の決めフレーズである”頭金10万円を出せば不動産があなたのものになりますよ”を実現するためにどうしてもフルローンが必要だったからです。実際に購入した物件にはフルローンは付かなかったため差額は手出しが必要でした。そのため、実際の売買価格よりも高額な売買契約を金融機関に提出することで融資額を引き上げたわけです。例えば、売買価格1800万円の物件購入に対して金融機関が1600万円の融資が出る状態だったとすると、売買価格を2000万円に引き上げることで融資額を1800万円まで引き上げ手出しの発生を防いだということです。
当時の私は全容は理解できておらず、単に業者による値引きを受けたという認識でしたがよくよく調べると上記の通りの違法な行為だったことが分かりました。2024年に他行への借換を行うことで当初のローン契約は完了しています。
5室目(2013年):サブリース
2013年に追加で新築ワンルームを1室購入しましたが、西武池袋線沼袋駅から徒歩13分、購入した部屋は半地下の1階でした。他の物件と比べて安価に購入できたことはよかったのですが、とにかく人の付きが悪い。立地条件の悪さに加えて半地下物件は敬遠する人が多く、半年ほど空室が続いた時期にサブリースに切り替えました。
サブリースにより毎月家賃収入が得られ運営は安定しましたが、サブリース手数料は家賃の15%、月々収支は▲10,583円と悪化。また入居時の礼金や契約更新料もサブリース業者の懐に入り、私には1円も入ってきません。更にサブリース業者と入居者間で契約している家賃もブラックボックスです。2023年以降の家賃上昇相場においてこの物件の家賃も上昇しているはずですが、サブリース契約の家賃改定を申し入れたものの結果はNG。実際の運営状況が見えなくなったことも大きなデメリットです。
この物件は、2025年4月に借換を行いましたが、物件の担保評価が伸びず残債1440万円のうち210万円は金利の高い無担保ローンで借換することになりました。人口増加地域である東京23区であっても、立地・半地下と不利な条件が複数あると月々のマイナス収支に加えてその改善を狙う借換においても条件が悪くなります。
借換事例4:練馬区沼袋(2013年購入) | マンション投資 ~失敗からのリカバリー~
また、この物件は半地下故に通気が悪く湿気がたまりやすく、入居者の退去後の壁紙張替えも毎回広範囲で行う必要があるなど原状回復費の高さも課題です。
サブリース契約に頼らざるを得ない物件はそもそも購入を見送るべきです。これまでの入居状況を見極める上でも新築ではなく中古が良いと考えています。
物件購入~業者はゴール、個人投資家はスタート | マンション投資 ~失敗からのリカバリー~
→近隣物件との競争を経た中古物件 をご参照ください。
これまでの失敗経験から学んだこと
上記の通り、2005年の不動産投資開始から様々な失敗を経験してきました。これらの失敗を基に自分に言い聞かせたいことが3点あります。
- 勉強すること
- 複数の業者の提案を比較すること
- 諦めないこと
「勉強すること」これは絶対です。上記のような失敗を同じ不動産業者に対し何度も繰り返してしまったのはなぜか、と考えた時に、そもそも不動産投資に対し前向きに取り組めていなかったことが挙げられます。投資するならば儲けるという決意をして自分事として取り組むことが大事です。百戦錬磨の不動産営業マンにとって知識ゼロのサラリーマンはネギを背負ったカモ以外の何物でもありません。我々素人投資家と業者との知識・経験の差は桁違いです。業者が説明する不動産投資のメリットに対し、やらないことを正当化するために業者のロジックを論破することは難しい。すでに質問に対する答えが用意されています。やり取りの結果、不安がすべて解消されたので、賢いあなたは投資した方がいいですよね、ということになり断れなくなってしまう。私もこのパターンでした。
「複数の業者の提案を比較すること」知識・経験がない状態で唯一抵抗できる手段は複数業者間の提案比較です。1社だけ相手にすると論破され逃げ道を失ってしまいますが、「今複数の業者から提案を受けているので良かった方から購入します」と言えば即断即決は避けられますし、実際に両社の提案を比較することで判断の軸を持つことができます。また、自身の知識を短期間で高めることもできます。
「諦めないこと」これは今マイナス収支で苦しんでいる方に言いたいことです。巷では、”ワンルーム投資は儲からない”と言ってマイナス収支に苦しんでいる個人投資家向けに売却を煽る業者が溢れています。不安を煽り安値で売却させた後に別の個人投資家に利益を乗せて転売する、個人投資家が損をして売却することが中古買取業者のビジネスチャンスになっています。
割高に購入してしまった、家賃が安い、売却価格が低い、、ワンルーム投資において難題を抱えているとしても多くのことは時間が解決してくれます。マイナス収支であっても耐えらえるのであれば、今すぐに損切りせずに少なくとも損益分岐点を迎える(残債<売却価格)まで持ち続けることをお勧めしますし、5年、10年と保有しているのであれば売却以外に借換により収支を改善できる可能性もあります。ぜひ以下の記事もお読みください。
借換実績一覧 | マンション投資 ~失敗からのリカバリー~
最後に。よく不動産業者から「紹介して欲しい」と言われます。私は最初の9室を同じ業者から購入しましたが、絶対にこの業者には紹介はしません。それは、物件購入~業者はゴール、個人投資家はスタート | マンション投資 ~失敗からのリカバリー~で書いたようにその業者とは立ち位置が違うからです。この業者は新築ワンルーム(最近は中古も取り扱う)を売ることが事業の柱であった、購入後に我々個人投資家がどのように家賃収入を生活の柱として育てていけばよいかという道筋を全く示してくれないからです。一方、すべてを業者のせいにするのは単なる”責任転嫁”、自分の勉強不足も苦境に立たされた大きな要因です。この業者とは今も6室の賃貸管理を任せていますが、今後の物件提案は「東京23区内」・「中古」・「駅近」に限定するようお願いしています。自分なりに不動産投資の勝ち筋を構築し、それに見合う物件提案をお願いすることが大事だと思っています。