初めての不動産投資は、知らないことだらけの状態から始まります。私も無知のまま契約し、住宅ローンやサブリースの落とし穴に後から気づきました。
投資は体験しないと自分事化しにくいものですが、無知のまま始めると代償は大きくなります。特に不動産投資は購入時の条件が後々の投資利回りに大きく影響するためです。
この記事では、私が2005年に初めて購入したワンルームマンションで実際に経験した“本当のリスク”と、初めての方が最初に身につけるべき判断基準を解説します。
知らないまま始めた不動産投資の代償
2005年9月、私は頭金10万円で都内のワンルームマンションを初めて購入しました。営業担当者から言われた以下の一言が当時の私には心に深く刺さりました。
「不動産投資は、あなたのような高年収の方に限られた投資なんですよ」
実際の年収は決して高くないものの当時の自分は「自分は選ばれた側なのかもしれない」そんな気持ちになり、深く考えずに契約。今振り返れば、これは典型的な“無知のリスク”でした。
- 住宅ローンを投資に使うことの意味
- 新築ワンルームは割高であること
- サブリースの構造的な弱点
- 管理費・修繕積立金が必ず上がるという現実
- 赤字収支を「保険料代わり」「年金代わり」と説明することで儲からない投資を正当化
- 「みんなやってますよ」という言葉の危険性
どれも理解しないまま、聞こえの良い”安心できる言葉”を信じ契約、しかし契約した瞬間から
リスクはすべて自己責任という現実だけが残りました。
参考:不動産投資の仕組み|ワンルーム投資の基礎を体系的に理解
購入当初の判断と無知が生んだ“安心感”
購入に使ったのは住宅ローン(2,690万円・金利1.925%・35年)。営業担当者からは、「みなさん住宅ローンで買っていますよ」、「金利が低いので有利です」と説明され、疑うことすらしませんでした。しかし、住宅ローンを投資に使う最大のリスクは、“本当に自分が家を買いたいときに、住宅ローンが使えなくなる”という点にあります。当時の私は、この重大なリスクをまったく理解していませんでした。
- マイホームを買おうとしても借入枠が残っていない
- 年収に対する返済比率が上がり、審査に通らない
- 金融機関から、投資用ローンへの切替や、一括返済を求められるリスク
参考:契約トラブル事例|ワンルーム投資で起こりやすい契約リスクと回避策まとめ
12年間で何が起きたのか ― 収支推移の実態
購入当初ギリギリ黒字だった収支は、その後少しずつ悪化していきました。
| 年月 | 保証家賃 | 金利 | 返済額 | 管理費・修繕積立金 | 月間収支 |
| 2005年 (購入時) | 97,000円 | 1.925% | 88,071円 | 8,900円 | +29円 |
| 2009年 | 97,000円 | 1.925% | 88,071円 | 13,910円 | ▲4,981円 |
| 2010年 | 97,000円 | 2.025% | 90,439円 | 13,910円 | ▲7,349円 |
| 2013年 | 95,200円 | 2.025% | 90,439円 | 13,910円 | ▲9,149円 |
収支が悪化した3つの理由
管理費・修繕積立金の上昇
新築時の管理費・修繕積立金は“最安値”。マンションが古くなるほど上昇するのは当然ですが、当時の私は知りませんでした。
参考:収益構造の理解|ワンルーム投資の収益の仕組みを体系的に学ぶ
変動金利の上昇
2010年には金利が 1.925% → 2.025% に上昇。返済額は 88,071円 → 90,439円 へ増加し、赤字幅が拡大。
参考:金利上昇リスク|返済額・返済比率・キャッシュフローへの影響を理解
サブリース保証家賃の減額
2013年には保証家賃が 97,000円 → 95,200円 に減額。「家賃固定で安心」という説明は、現実は異なっていました。
参考:サブリースの注意点|ワンルーム投資のリスクと対策まとめ
売却を決断した本当の理由 ― 無知のまま続けるリスク
2013年以降、収支は赤字が続いていましたが、赤字幅が大きくなかったのは、住宅ローンが不動産投資ローンに比べ低金利なためです。当時売却を決断した理由は、“住宅ローンを使ったまま投資物件を保有している”というルール違反状態を解消したかったから。結局2017年5月に売却しました。
比較と学習が“無知のリスク”を減らす
営業トークには、投資家にとって不利な情報は聞かないと出てこないからこそ、知識不足を補うためには 比較 が欠かせません。自身の足りない知識を補う有効な手段は複数社の提案を比較すること。これにより、“判断の軸”が見えてきます。一社だけの説明を聞いていると、その会社の“世界観”がそのまま自分の判断基準になってしまいますが、比較することで初めてその偏りに気づくことができ、判断の軸(どちらが良いか・悪いか)を持つことができます。
- どの会社がより割高なのか
- どの説明が都合よく省略されているのか
- どこまでが一般的で、どこからが物件固有なのか
しかし、相対比較だけでは不十分です。もう一つ必要なのは、成功している投資家の考え方を知ることです。成功している投資家は、自身の絶対的な基準を持っています。
- 10年後にどうなるか
- リスクはどこに潜んでいるか
- 何を優先し、何を切り捨てるか
相対軸(比較)と絶対軸(成功者の基準)。この二つが揃って初めて、営業トークに振り回されない“自分の判断力”を育てていくことができるのです。
参考:不動産投資シミュレーション|金利・返済額・CFを数値で理解する実践カテゴリ
まとめ:初めての物件で学んだ“無知の代償”
初めてのワンルーム投資は、私にとって“無知であることのリスク”を教えてくれた貴重な教訓となっており、その経験は現在の投資判断に生きています。
- 営業トークを鵜呑みにすると不利な物件を掴む
- 契約した瞬間から、すべてのリスクは自分に。“知らなかった”では済まされない世界。
- 住宅ローンを投資に使うと、将来のマイホーム購入が制限される
- サブリースは“安心”ではなく“収支硬直化”
- 管理費・修繕積立金は必ず上がる
- 相対軸と絶対軸を持つことで判断力が育つ

