不動産投資の収支は、購入後の運用で大きく変わります。
その中でも、土地・建物の按分を理解し、繰上返済の優先順位を工夫することは、黒字化を目指す上で見逃せない“重要ポイント”です。
土地・建物の按分とは
購入した不動産の価格は必ず土地と建物に分けて扱われます。そして確定申告では次のルールが適用されます。
- 建物部分の利息 → 経費になる
- 土地部分の利息 → 赤字の場合は経費にならない…「収支内訳書」の”土地等を取得するために要した負債の利子の額”に該当。
この差が、運用後のキャッシュフローにじわじわ効いてきます。
銀行ローンは土地・建物をまとめて一本化して管理されるため、投資家自身が内部的に按分して管理する必要がある点がポイントです。
黒字化を後押しする「土地優先の繰上返済」
銀行は土地・建物の区別はしてくれませんが、投資家側で按分しておくと、「繰上返済」の効果を最大化できます。特に有効なのが、「土地分に対して優先的に繰上返済した」ことを内部管理する方法。これにより、
- 経費にならない土地利息を減らせる
- 経費になる建物利息は残せる
というメリットが生まれ、黒字化に向けた改善が進みます。
土地・建物の利息を管理するための手順
① 土地・建物の按分率を確認する
次のいずれかで確認できます。
- 売買契約書等に記載されている按分率
- 記載がない場合:
→消費税額から逆算
→消費税額 × 10 = 建物価格 - それもない場合:
「固定資産税評価額」(土地・建物別)から按分
② 年間の利息支払額を把握する
- 銀行から「年間実績表」が届く場合→そこから確認
- 届かない場合→返済予定表から利息部分を合計
③ 利息を土地・建物に按分する(例)
物件価格:2,000万円
土地:800万円(40%)
建物:1,200万円(60%)
年間利息:50万円
- 土地分:50 × 800 / 2,000 = 20万円(赤字だと経費にならない)
- 建物分:50 × 1,200 / 2,000 = 30万円(経費になる)
④ 繰上返済した場合の内部管理(例)
残債:1,600万円の場合
土地:640万円(40%)
建物:960万円(60%)
ここで 200万円を土地分に対して繰上返済した と内部管理すると…
- 土地:640 → 440万円
- 建物:960万円(変わらず)
- 残債:1,600 → 1,400万円
新しい按分率は:
- 土地:440 / 1,400 ≒ 31%
- 建物:960 / 1,400 ≒ 69%
年間利息50万円の場合:
- 土地分:50 × 440 / 1,400 ≒ 15.7万円
- 建物分:50 × 960 / 1,400 ≒ 34.3万円
土地利息が減り、建物利息(経費)は維持されるため、節税効果を残しつつ収支を改善することができます。
確定申告を“自分でやる”と理解が一気に深まる
不動産業者が確定申告をサポートしてくれるケースは多いですが、節税の仕組みを本質的に理解するには、自分で申告するのが最も早い と感じています。
実際に自分で申告すると、
- 土地・建物按分が利息経費にどう影響するか
- 減価償却が収支にどう効くか
- 黒字化のためにどこを改善すべきか
といったポイントが数字として見えるようになり、“税金を踏まえた不動産戦略”という新しい視点が生まれます。
まとめ:小さな工夫が黒字化を後押しする
- 土地・建物の按分を理解する
- 繰上返済は土地部分に優先して内部管理する
- 確定申告を自分で行い、税務理解を深める
どれも小さな工夫ですが、積み重ねることで収支改善に確実に効いてきます。
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