不動産投資はやめようと思っても、購入してしまうと残債>売却価格の場合はその差額を補填する必要があり、簡単に「売って終わり」とは行きません。
また、残債<売却価格であっても、確定申告すると納税となり(※)結果として収支がマイナスになるケースもあるので注意が必要です。
※譲渡所得=売却価格ー土地・建物簿価ー諸費用となります(残債は関係ない)。保有期間中に減価償却が進み残債>帳簿上の価値となると、売却で手残りが発生したとしても残債と帳簿上の価値の差に対して税金がかかり、結果として収支がマイナスとなることもあります。詳細は以下の記事をご参照ください。
適正価格で購入し、安定した家賃収入を得ながら着実に資産形成を進めるという不動産投資の王道のシナリオが実現できるかどうかは、誰から買うかに大きく依存します。
私自身、20代後半だった2005年に不動産投資を始めましたが、当時は知識も経験もなく、悪徳とまでは言えないものの“おすすめできない業者”から新築物件を割高な価格で7件購入してしまった結果、年間収支はついに▲100万円に到達。借換(借換事例)をしたり繰上返済に多額の自己資金を投じ、ようやく昨年になって収支がプラスに戻ったという苦い経験があります。
初めて不動産投資を行う方が、目の前の業者が信頼できるのか、危険なのかを見分けるのは簡単ではありません。そこで、本記事では私の経験を踏まえ、NG業者をフィルターで落とすことで、結果的に信頼できる業者だけを残す方法を紹介します。
NG業者を見極める「2段階フィルター」
不動産業者を見極めるには、次の2つのフィルターを順番に通すのが最も安全です。
- 第1フィルター:提案以前に除外すべき業者(ルール違反)
- 第2フィルター:提案姿勢から除外すべき業者(投資家不在の提案)
この2段階を踏むことで、初心者でも自然と“信頼できる業者”に辿り着けます。NG業者と契約したとしても、結局損をするのは投資家。契約してしまった以上は全て自己責任。業者に責任を問うことはできません。だからこそ業者選定は慎重に行う必要があります。
2つのフィルターを通過した業者からの提案を、最後に投資家自身の目である第3フィルターにより購入すら価値があるかどうかを判断します。
- 第3フィルター:投資判断は「投資家の感情」ではなく「条件」で行う
第1フィルター:提案以前に除外すべき業者(ルール違反)
ここに当てはまる業者は、提案内容を見る価値すらありません。
- いきなりの自宅訪問
アポなし訪問は現代では完全にNG。生活圏に踏み込んで心理的な優位を取る手法です。 - 電話営業(局番+下4桁の総当たり)
企業の局番+下4桁をランダムにダイヤルする“闇営業”。 - 個人情報の入手経路が不透明
実際に「名簿業者から買っているので問題ありません」と堂々と回答されたことがあります。コンプライアンス意識の無い会社とは、提案以前に距離を置くべきです。 - 契約しないと帰れない空気を作る
面談の長時間拘束、断りづらい雰囲気など。我々投資家の自由意思を奪う行為はアウト。 - 当日の契約を迫る
提案当日に、「今日手付金はお持ちですか?」とか「印鑑はお持ちですか?」と聞かれたことがあります。その他「今日決めないと買えません」・「他にも検討者がいます」といった判断を急かす発言。冷静な判断を奪うための典型的な圧力で受け入れるべきではありません。 - 住宅ローンでの提案、二重契約は論外
住宅ローン、二重契約は違反行為です。投資家のリスクを顧みない悪徳業者とは一切付き合わないことです。

第2フィルター:提案姿勢から除外すべき業者(投資家不在の提案)
第1フィルターを通過しても、第2フィルターで落ちる業者は多いです。
- 納得ではなく“説得”してくる
我々投資家の納得ではなく、業者のストーリーに当てはめて契約に誘導するタイプ。- 典型的な営業トーク:
- 「不動産投資は年収の高いあなたのような方に限られた投資です」
- 「将来の年金対策になります」
- 「団体信用生命保険が付いているので月々のマイナス収支はあなたが契約している保険の代わりになります」
- 「節税になります」
- これらは一見もっともらしいですが、単に我々投資家が断るための逃げ道を塞ぐための理論武装。決して投資家の立場に立った説明ではありません。また、節税に関しては「デッドクロス」を迎えると手取りに比べて会計上の不動産所得が急増し将来の収支悪化要因となること、売却時に節税額に近い金額が課税されるリスクがあることにも注意が必要です。こうしたリスクについては通常は説明されないため、注意が必要です。
(参考記事:デッドクロスとは?仕組み・発生理由・対策を徹底解説)
(参考記事:残債より高く売れたのに税金で赤字?マンション売却時の危険な誤解)
- 典型的な営業トーク:
- デメリットを隠す、シミュレーションが甘すぎる
初心者の情報不足を利用した典型的な手法です。- 新築物件は新築プレミアムにより家賃が高くなりがちであることを言わない
- 空室率0%、家賃が下落しない前提のシミュレーション
- 管理費・修繕積立金が将来上がる可能性を説明しない
- 初年度の還付金を含めた収支を“毎年続くかのように”見せる
- 「こんなに頑張ってるのに申し訳ない」と思わせる戦略
長時間の説明、丁寧すぎる対応、何度も足を運ぶ…。これは 返報性の悪用という投資家の感情を利用して“断りづらい空気”を作るための営業行為です。
第3フィルター:投資判断は「投資家の感情」ではなく「条件」で行う
不動産投資の目的は 儲けること です。営業マンがどれだけ頑張ってくれたかは投資の成果に1円も寄与しません。第2フィルターでは“業者が感情を利用してくる行為”を排除しましたが、物件選定においては自分自身の感情も排除する必要があります。判断すべきは以下の“条件”です。
- 数字は現実的か
- リスク説明は十分か
- 他社比較はできているか
- 出口戦略は明確か
- 自分の目的に合っているか
絶対にやるべき対策:複数業者を比較する
初心者が絶対にやるべき対策は複数業者を比較することです。1社だけだとその業者のストーリーに飲み込まれます。複数社の提案を比較することで、初心者投資家でも良し悪しの”判断基準”が生まれます。業者Aの提案で納得できなかったことを業者Bにぶつけてみると業者Aの説明が適切だったのかどうかを知ることができます。こうした比較をすることで、業者との知識・経験の差を補完することができ、提案内容を適正に評価することができるようになります。
比較すると分かること:
- 提案された物件の優位性
- 提携ローンの優位性(同じ物件であっても融資条件は業者・銀行の関係性により異なる)
- シミュレーションの現実度
- 情報の透明性
まとめ
信頼できる業者かどうかの判別は投資初期には正直難しいのが現実です。だからこそ、NG業者をフィルターで排除する方法が最も安全です。
「ルール違反の営業」・「顧客不在の提案」を排除し、自然と”信頼できる業者”に辿り着けるはずです。また、複数業者の提案比較により判断基準を作ることでより価値のある物件に辿り着くことができるのです。
この記事は「不動産投資の基礎」シリーズの 第7回 です。
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