不動産投資の営業トークでは、よくこう言われます。
- 「35年後にローンが終われば家賃が丸ごと入ります」
- 「老後の年金代わりになります」
一見すると魅力的ですが、これは不動産会社にとって都合の良い“遠すぎるゴール”です。投資家が本当に向き合うべきは“今〜数年先の収支”であり、35年後ではありません。
不動産投資は、途中の収支が安定していなければ継続できません。だからこそ、投資家が設定すべきゴールはもっと手前にあります。
不動産投資のゴールの定義
私が考える不動産投資のゴールは、次のようなことがあっても「収支が安定してプラスであり、多少の変動があっても手出しが発生しない状態」です。
- 空室
- 退去・原状回復費用
- 管理費・修繕積立金の増額
- 金利上昇
- 設備交換などの突発支出
不動産投資の三段階(返済比率x収支)
返済比率と収支を軸にすると、不動産投資次の3段階に分かれます。
リスク対策期(赤字 × 返済比率60%超)
- 家賃収入 < 支出
- 空室・退去・設備故障で赤字が拡大
- 自己資金で補填し続ける必要がある
- 揺れに非常に弱い
- 投資ではなく”負債の管理”の段階
半自走期(黒字だが揺れに弱い × 返済比率60%超)
- 通常運転なら黒字
- ただし、長期空室・設備故障・管理費修繕積立金の増額・金利上昇で赤字化する可能性あり
- 黒字幅が小さく、揺れに弱い
- 自己資金の併用が必要
自走モード(黒字 × 返済比率60%以下)
- 収支が安定して黒字
- 空室・退去・管理費修繕積立金の増額・金利上昇にも耐えられる
- 自己資金ゼロで運営が回る
- 家賃収入だけで次の投資の頭金を作れる
- ”不動産が不動産を買う”状態
返済比率60%以下が“自走モードの条件”である理由
返済比率が60%以下は、以下のような突発要因があっても黒字を維持できる目安です。
- 空室
- 退去
- 設備故障
- 管理費・修繕積立金の増額
- 金利上昇
返済比率60%以下にするための戦略
返済比率60%以下は“自然に到達するもの”ではなく、戦略で作りにいくものです。
改善可能な物件は改善して返済比率を下げる
● 家賃改善
● 返済改善
- 借換
- 繰上返済
改善不能な物件は売却してポートフォリオを軽くする(撤退戦略)
撤退判断は「赤字額」ではなく、改善可能性の有無で判断します。
- 返済比率100%超(DSCR1.0未満)で改善見込みがない
- 修繕積立金が極端に安い(月2,000円未満だと将来の増額可能性が高い)
- 家賃上昇余地が小さい(立地が悪い・築古などにより競争力が低い)
- 借換が不可能(立地が悪い・築古などの影響が大きい)
- 月2〜3万円以上の赤字で家計が耐えられない(補助的基準)
👉 売却して総CFを改善し、資金を再配置するのが最適解。
将来改善が見込める物件は残す(借換前提)
以下のような物件は、売却ではなく機会を待つべきです。
- 借換が可能で、数年後に返済比率が大幅に改善する見込み
- 残債を減らすことで将来の借換条件が良くなる
- 周辺相場より家賃が安く、改善余地がある
結論:返済比率60%以下 × 揺れに強い黒字が“自走モード”の条件
35年後の完済はゴールではありません。投資家が本当に目指すべきゴールは、
- 黒字収支
- 返済比率60%以下(揺れに強い水準)
この条件を満たした物件は自己資金ゼロで資産が増える状態(自走モード)に入り、“負債”から安定して収益を生む“資産”へと変わります。
