小規模マンションで管理会社の「選別」が加速
2026年7月19日の日経新聞にて、管理会社による採算割れマンションの突然の解約・大幅値上げ・契約期間短縮が増えているとの記事がありました。詳細は以下の通り。
分譲マンションの管理組合が危機に陥っている。コスト上昇や人手不足により、味方だったはずの管理会社との関係が暗転。大規模な修繕工事には不正の影が忍び寄る。購入時には想定できなかった事態に、自衛の道はあるか。
小規模マンションを切り捨てる管理会社 「うまみない」と突然解約 – 日本経済新聞
特に投資型や20戸前後の小規模マンションでは、管理会社から「うまみがない」と切り捨てられるリスクが急増しています。購入時には想定できなかった管理不全の危機に対し、管理組合はどのように自衛すべきでしょうか。
なぜ小規模マンションが狙われるのか?(背景と現状)
大手管理会社の担当者によると、事業の採算ラインは40〜50戸。特に20戸前後の小規模マンションはスケールメリットが効かず、値上げ要求や解約リスクに直面しやすくなっています。
インフレが管理組合を直撃し、赤字が常態化
多くの管理組合では、支出の増加に伴い単年度収支が赤字に転落。剰余金の取り崩しでしのいでいるものの残額が年々減少という状況のようです。
その背景にあるのが、近年の急激な不動産インフレとコスト高騰です。これにより、多くの管理組合で単年度収支が赤字化。剰余金を取り崩してしのぐ「ジリ貧」状態に陥っています。
人件費の高騰
- 最低賃金(東京都)は10年で35.2%上昇(907円 → 1,226円)
- 管理員・清掃員の募集時給も1,300〜1,700円が相場に
資材費・電気料金の高騰
- 原油・ナフサ不足
- 電気料金は10年で約59%上昇
保険料の高騰
- マンション総合保険の料率引き上げ
小規模マンションの赤字を打開する5つの対策
管理不全を回避し、収支を改善するためには「単なる値上げ」ではなく「構造の再設計」が必要です。
支出の削減(即効性の高い施策)
共用部照明のLED化
電気代を約50%削減(削減率52%の実例あり)。小規模ほど投資回収が早く、効果的です。
仕様(委託内容)の見直し
管理員の勤務時間(例:8:00〜12:00に短縮)や定期清掃の回数(年12回→6回など)を建物規模に合わせて最適化します。削りすぎはNGですが、費用対効果の低い部分は見直すべきです。
委託費の交渉
管理会社の言い値を鵜呑みにせず、値上げ根拠を確認した上で適正額かを検証します。
大規模修繕費の適正化
相見積の徹底
ある48戸のマンションでは、最低額と最高額で2,200万円(約29%)の差が出た例もあります。管理会社任せにせず相見積もりを取ることが重要です。
長期修繕計画の再作成
不要な工事の削除や、段階的増額方式への変更を検討します。尚、長期修繕計画の作成がインフレ転化前の場合、改めて見直す必要があります。
管理会社の変更(ただし“選べない時代”に注意)
相見積をとっても、人材不足により他社から「受託辞退」されるケースが増えています(港区200戸の事例では9社中5社が辞退)。小規模マンションでは特に厳しいため、現管理会社との関係悪化を避けつつ粘り強く交渉する姿勢が求められます。
副収入(収益事業)の導入
- 敷地・設備の有効活用
- 空き駐車場の外部貸出(月極・コインパーキング)、シェアサイクルの誘致、自販機設置等。
- 屋上・壁面の活用
- 条件が合えば看板設置や携帯基地局、太陽光発電などの導入も補填財源として有効です。
管理費の値上げ(最終手段)
コスト高騰が続く中、コスト削減と収入確保を尽くした上での「管理費値上げ」は不可避な局面もあります。管理費を適正化し、住環境や資産価値を維持することは、巡り巡って入居者満足度の向上とオーナーの利益維持につながります。
まとめ
小規模マンションの管理危機は、「社会構造の変化 × 管理会社による選別 × 管理組合の対応力不足」が重なって引き起こされています。
- 支出削減(LED化・業務仕様の見直し・修繕費の相見積)
- 収入増加(余剰スペースの収益化)
- 管理会社とのパートナーシップ構築(無謀な安買いではなく適正適価での交渉)
これらを組み合わせることで、赤字に悩む管理組合であっても健全な経営状態を取り戻すことが十分に可能です。
