このページでは、東京メトロ丸ノ内線「中野富士見町」徒歩4分の物件が、当初はマイナス収支でスタートしつつも、家賃改善によって黒字化を達成した実例を紹介します。
※業者に勧められるままに購入した物件ではなく、戦略に沿って購入した初めての物件です。
「家賃改善のインパクト」や「返済比率60%以下を目指す資産形成戦略」の、具体的なケーススタディです。
物件概要
- 物件名:中野(仮)
- 購入年月:2024年11月
- 購入価格:3,420万円
- 借入額:3,410万円(O銀行・金利1.65%・35年)
- 諸経費:120万円
- 自己資金:130万円
- 立地:東京メトロ丸ノ内線「中野富士見町」徒歩4分
- 専有面積:35.12㎡
- 家賃(購入時):129,000円(共益費込)
- ローン返済額:106,932円
- 管理費:10,000円
- 修繕積立金:11,240円
- 管理委託費:3,300円
- 固定資産税:78,600円/年(6,550円/月換算)
当初収支(戦略的マイナス)
購入時点の収支は、固定資産税を含めると以下の通りです。
家賃収入:129,000円/月
支出:
- ローン返済:106,932円
- 管理費:10,000円
- 修繕積立金:11,240円
- 管理委託費:3,300円
- 固定資産税:6,550円
支出合計:106,932 + 10,000 + 11,240 + 3,300 + 6,550 = 138,022円
当初収支:129,000 − 138,022 = ▲9,022円/月
年間収支:▲9,022 × 12 = ▲108,264円/年
つまり、この物件は「年間約10.8万円のマイナス収支」からスタートしています。ただしこれは、後述する通り「失敗」ではなく、好立地かつ相場より低い家賃の物件をあえて選び、将来の家賃改善とキャピタルを狙う戦略的なマイナスです。
投資方針:好立地 × 低家賃を選ぶ戦略
この中野物件は、購入初期のキャッシュフローではなく、中長期の家賃改善と売却益(キャピタル)狙いで購入しました。
- 丸ノ内線中野富士見町駅徒歩4分という好立地で、新宿・東京・銀座・大手町などの主要ビジネスエリアへダイレクトにアクセスできるため、都心勤務の単身者需要が非常に強いエリア。「立地力」により、家賃相場・売却相場ともに底堅く推移すると想定し購入。
- 購入時点では、周辺相場に対して家賃設定が低めだったため、収益還元法で算定される物件価格は、将来の家賃改善を前提とすると割安に購入できた。
- 35平米という広さは投資用としてだけでなく、実需層(自己居住目的)の購入ニーズも期待できるサイズ。実需層が購入する場合は住宅ローンが利用でき投資用ローンよりも低金利で購入できるため、物件価格を上げやすい。結果として将来のキャピタルゲインも見込める。
- 購入当初の想定通り、現在の売却相場は約4,850万円(InvaseProより)と、購入価格3,420万円から大きく上昇しており、家賃改善とキャピタルの両面で戦略通りの成果が出ている。
購入後に起きた出来事(時系列)
2025年7月:金利上昇(1.65% → 1.9%)
借入金利が1.65%から1.9%に上昇。ただし、5年ルールにより返済額は据え置きのため、短期的なキャッシュフローへの影響はありません。
2026年1月:金利再上昇(1.9% → 2.0%)
再び金利が上昇し、1.9%から2.0%に。ただし、この時点でも返済額は変わらず。
2026年6月:退去発生
当初は「2026年9月の更新で家賃UP」を想定していましたが、予定より早く退去が発生します。一見ネガティブな出来事ですが、結果的に家賃改善のチャンスとなりました。
2026年7月:金利再上昇(2.0% → 2.25%)
7月にさらに金利が上昇し、2.0%から2.25%となる予定。ただし、この時点でも返済額は変わらず。一方で、次回の返済額見直し時には返済額が増加するリスクが蓄積していきます。
2026年7月:新家賃で即入居(12.9万円 → 14.2万円)
退去後に周辺相場を再調査したところ、35㎡クラスの家賃相場は13万円台が主流になっていました。そこで、今後の家賃相場上昇も見越し、強気に14.2万円に設定したところ、退去から10日程度で次の入居が決定。これは、立地の強さと、もともとの家賃設定が割安だったことの裏付けでもあります。
家賃改善後の収支
- 新家賃:142,000円/月
- 支出合計:当初と同じく 138,022円/月
- 改善後収支:142,000 − 138,022 = +3,978円/月
- 年間収支:+3,978 × 12 = +47,736円/年
当初は年間▲107,864円の赤字だったものが、家賃改善により年間+47,736円の黒字へと当初戦略通りにプラス化を達成することができました。
キャピタル面:売却相場上昇による含み益の拡大
家賃改善によるインカムの改善に加え、キャピタル面でも大きな含み益が出ています。
- 現在の売却相場(InvasePro):約4,850万円
- 購入価格:3,420万円
- 残債(概算):約3,300万円前後
単純化すると、4,850万円 − 3,300万円 ≒ +1,550万円程度の含み益が見込める状態です。インカム(家賃改善)とキャピタル(相場上昇・元本返済)の両輪で、資産形成効果が非常に高い案件と言えます。
関連記事:不動産投資は株式投資より得か?利回りと資産推移を徹底比較
この事例から学べる資産形成のポイント
ポイント1:初期マイナスでも「好立地 × 低家賃」なら戦略的にアリ
この物件は、購入時点では年間▲10万円超のマイナスでしたが、
- 立地が強い
- 家賃が相場より低い
という条件が揃っていたため、家賃改善によるプラス化が十分に見込める案件でした。
「初期からプラスの物件」だけを探すのではなく、
好立地 × 割安家賃 × 将来の家賃改善余地
という観点で物件を選ぶことが、資産形成戦略としては合理的であることがわかります。
ポイント2:退去は“リスク”だが、同時に“改善チャンス”でもある
更新時の家賃アップは、一般的に+2,000〜5,000円程度が限界ですが、退去後の再募集であれば+1〜2万円の改善も見込めます。今回も、退去が発生したことで、
- 家賃:129,000円 → 142,000円(+13,000円)
- 年間収支:▲107,864円 → +47,736円
という大きな改善につながりました。
ポイント3:金利上昇局面でも「返済額据え置き」が時間を稼いでくれる
金利は1.65% → 1.9% → 2.0%と上昇しましたが、5年ルールにより返済額は据え置きでした。この「時間の猶予」があったからこそ、家賃改善による収支プラス化を先に達成できたとも言えます。
返済比率の現状と今後の戦略:家賃改善と並行した“第二段階の資産形成”
中野物件は、家賃改善により年間+47,736円の黒字化を達成しただけでなく、返済比率も以下のように改善しました。
- 購入時の返済比率:82.89%
- 家賃改善後の返済比率:75.3%
返済比率が7ポイント以上改善したことは大きな成果ですが、資産形成戦略としての最終目標である「返済比率60%以下」にはまだ届いていません。
なぜ返済比率60%が重要なのか
返済比率60%以下になると、
- キャッシュフローが安定し、金利上昇の影響を受けにくくなる
- 空室や修繕が発生しても赤字化しにくい
- 返済額より家賃上昇ペースが勝ちやすくなる
- レバレッジの「負の効果」が薄まり、インカムの複利が回り始める
といった状態になり、長期保有に必要な“安全圏”に入ります。
関連記事:ワンルーム投資の本当のゴールは「返済比率60%以下」|35年後の完済はゴールではない
金利上昇リスクと繰上返済の必要性
この事例では、すでに2回の金利上昇が発生しています。
- 2025年7月:1.65% → 1.9%
- 2026年1月:1.9% → 2.0%
現時点では返済額は据え置きですが、次回の見直し時には返済額が増加し、CFが再び悪化するリスクがあります。そのため、家賃改善で黒字化したとはいえ、
「このまま放置してよい」状態ではなく、金利上昇局面に備えた“守りの強化”も必要
というのが、現在の立ち位置です。そこで重要になるのが、繰上返済による返済比率の引き下げです。
関連記事:繰上返済の本質:返済比率を適正化し、長期保有できる状態を作るための改善手段
今後の戦略:家賃改善 × 繰上返済の二段構え
中野物件の今後の資産形成戦略は、次の二本柱になります。
① 家賃改善の継続
- 中野エリア全体の家賃トレンドは上昇基調
- 2026年の再募集で14.2万円が即決だったことから、立地の強さが確認済み
- 将来的に15万円台も十分狙えるポジション
今後も、相場を見ながら段階的な家賃改善を狙う余地があります。
② 繰上返済で返済比率を60%以下へ
- 金利上昇リスクに備え、返済額そのものを下げていく
- 返済比率を60%以下にすることで、CFの安定性を高める
- 家賃改善で生まれた黒字分を、繰上返済に回すことで「インカム → 返済 → さらにインカム」という複利サイクルを作る
つまり、
家賃改善で黒字化 → 黒字分を繰上返済に回す → 返済比率が下がる → CFがさらに安定する
という第二段階の資産形成フェーズに入った物件と言えます。
参考記事:繰上返済は投資より得?返済利回りの考え方とNISAとの比較を徹底解説
まとめ:中野物件は「戦略通りに成功し、次のステージに進む」事例
本件は、当初の戦略通りに家賃改善とキャピタルが実現した成功事例です。
- 当初は年間▲107,864円の戦略的マイナス収支
- 金利上昇が2回発生
- 退去も発生したが、家賃改善のチャンスに転換
- 家賃:129,000円 → 142,000円
- 年間収支:▲107,864円 → +47,736円
- 返済比率:82.89% → 75.3%へ改善
- 売却相場:3,420万円 → 約4,850万円(含み益大)
「家賃改善のインパクト|収益還元法でわかる価値上昇と投資効率の向上」と合わせて読むことで、
- 家賃改善が物件価値とCFに与えるインパクト
- 返済比率を意識した中長期の資産形成戦略
を、より具体的にイメージできるはずです。
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